萬屋一門の襲名と初舞台が発表になりました。
中村時蔵さんが初代中村萬壽を、時蔵さんの長男の中村梅枝さんが六代目中村時蔵を、梅枝さんの長男小川大晴くんが五代目中村梅枝を襲名するということです。
そして、中村獅童さんの長男の小川陽喜くんが初代中村陽喜、次男の小川夏幹くんが初代中村夏幹として初舞台を勤めることが発表になりました。
このおめでたい報せについて深堀ってみたいと思います。
萬屋(よろずや)ってどういう家なの?
中村獅童さんのお父さんと、中村時蔵さんのお父さんがご兄弟で、萬屋。
中村時蔵さんと中村錦之助さんがご兄弟で萬屋。
ちなみに昭和の名優萬屋錦之介さんは叔父様に当たります。
そして、中村時蔵さんの子息の梅枝さん萬太郎さんも萬屋
さらに、中村時蔵さんの弟の中村錦之助さん、その長男の中村隼人さんも萬屋
当然中村獅童さんも、その子供達も萬屋ということで、皆さん親戚になります。
中村時蔵家
中村時蔵家の皆さんは襲名されるとお名前が変わります。
五代目中村時蔵 | ⇒ | 初代中村萬壽(なかむらまんじゅ) |
四代目中村梅枝(なかむらばいし) | ⇒ | 六代目中村時蔵 |
小川大晴(おがわひろはる) | ⇒ | 五代目中村梅枝 |
現中村時蔵さんは、梅枝を名乗られていた7歳の頃に父親を亡くされ、後ろ盾を失いながらも、
叔父の中村錦之助(後の萬屋錦之介)を筆頭にして、屋号「萬屋」が新設されました。
その後26歳の時に五代目中村時蔵を襲名されたのです。
親子三代で、襲名披露ができるのは本当におめでたいことですし、初代中村萬壽になられる現中村時蔵さんは68歳の現役バリバリですし、この三世代からこの先どんなものが拝見できるのだろうかと考えるとワクワクしますね。
中村獅童家
中村獅童家は、お二人のお子さんが歌舞伎役者として初舞台を踏まれ、役者としてのお名前を名乗ることになります。
小川陽喜(おがわはるき) | ⇒ | 初代中村陽喜 |
小川夏幹(おがわなつき) | ⇒ | 初代中村夏幹 |
中村獅童さんは、お父様が獅童さんが生まれる前に歌舞伎役者を廃業されています。
幼少期に親戚や従兄弟の舞台を観に行くにつれ歌舞伎役者を志し、9歳で中村獅童を名乗り初舞台を踏まれた後子役の時代を過ぎると、役がつかなくなってしまいます。
バンド活動をしたり、日本大学藝術学部演劇学科に入学後したり、それでも歌舞伎への憧れが強く、大学中退後の20代半ばより、オーディションを受けては落ちるを繰り返していたそうです。
2002年公開の映画『ピンポン』で準主役のドラゴン役を射止め、日本アカデミー賞、ゴールデン・アロー賞の映画新人賞を受けるまでになりました。
その後の活躍は皆さんご存じの通りですが、ご自身が歌舞伎界で苦労されてきたのでお子さんたちが歌舞伎役者として初舞台ができることに喜びもひとしおかと思います。
襲名ってどういうこと?
歌舞伎界において、襲名とは、先人の名前や芸風を受け継ぐことを指します。
これは、代々受け継がれる名跡の一部で、有名な名跡には、市川團十郎や尾上菊五郎などがあります。
名跡は、同じ名前が代々引き継がれていきますので、萬屋の場合は六代目中村時蔵が生まれることになります。
同じ芸名でも、人物は異なるため、区別するために「○代目中村時蔵」や「〇代目中村梅枝」と呼ばれます。
襲名は、重要な行事であり、家柄にちなんだ演目のお家芸が披露されます。
初舞台ってどんな意味があるの?
歌舞伎界においての初舞台は、俳優として初めて舞台に立つことを指します。
通常、幼少期の約6歳前後に行われます。
古来よりお稽古事は「6歳の6月6日」から始めるのが良いとされている通り芸を習得するにはちょうど良いお年頃のようです。
そういえば、今回の初舞台は6月ですね。
初舞台では、正式に芸名を名乗り、観客の前で演技を披露します。
歌舞伎の家に生まれた子息は、3~4歳の頃から舞踊の稽古を始めます。
最近では、初舞台以前に本名のまま「初お目見得」として試験的に舞台出演させる例も増えています。
初舞台は、その役者さんにとって一度しかない貴重な舞台であり、観客にとっても記念になるものですから、是非とも観に行きたいですね。
襲名披露はいつ?どんな演目が上演されるの?
現在決まっているのは、下記のとおりです。
公演概要
【公演期間】2024年6月1日(土)~24日(月)
昼の部 午前11時~(予定)
夜の部 午後4時30分~(予定)
【休演日】11日(火)、17日(月)
【劇場】歌舞伎座
演目
【昼の部】
中村梅枝改め
六代目中村時蔵 襲名披露狂言
妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
杉酒屋娘お三輪 梅枝改め中村 時蔵
夜の部
中村時蔵改め
初 代中村萬壽 襲名披露狂言
五代目中村梅枝 初舞台狂言
山姥(やまんば)
山姥 時蔵改め中村 萬壽
怪童丸 初舞台中村 梅枝
初 代中村陽喜
初 代中村夏幹 初舞台狂言
新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)
魚屋宗五郎 中村 獅童
酒屋丁稚 初舞台中村 陽喜
酒屋丁稚 初舞台中村 夏幹
まとめ
2024年6月1日から始まる萬屋一門の、中村時蔵さんが初代中村萬壽を、時蔵さんの長男の中村梅枝さんが六代目中村時蔵を、梅枝さんの長男小川大晴くんが五代目中村梅枝襲名と、中村獅童さん長男の小川陽喜くんがが初代中村陽喜、次男の小川夏幹くんが初代中村夏幹としての初舞台についてまとめてみました。こんなおめでたい舞台を観劇できるのがとても楽しみです。
コメント