2024年6月 初夏の新派祭を観て来ました! あらすじと感想まとめ

2024年6月に三越劇場で開催された「初夏の新派祭」は、劇団新派による「蛍」と「お江戸みやげ」の二本立て公演でした。

「蛍」は喜多村緑郎さん河合雪之丞さんが同門の若手と共に繊細な演技で観客を感動させ、「お江戸みやげ」では、渡辺えりさんを客演に迎え、新派の看板女優の波野久理子さんががっぷり組んだ笑いとユーモアで楽しませつつもほろりとさせられるお芝居でした。

久々に生音が聴ける公演という事もあり楽しみに観て来ましたので感想などをまとめてみたいと思います。

第一幕『蛍』

こんなお話

昭和初期の浅草は鳥越でのお話。

鳥越神社の祭礼の日の出来事。

女性はまだ日本髪を結っていて和装の時代です。

2組の夫婦。

鈴木重一(喜多村緑郎)、よし子(瀬戸摩純)夫妻
舟木榮吉(喜多村一朗、河合穂積交互出演)、とき(河合雪之丞)夫妻

重一とときはかつては夫婦だったけれど、重一が酒癖の悪さからときの母親を刺して収監されるという事件を起こし、二人は離縁する。

重一が出所した際に仕事の親方が結婚させたのが元芸者のよし子(瀬戸摩純)。

親方の目の黒いうちは出所後の重一も酒を断ちまじめに仕事をしていたが、親方が無くなってからはまた酒におぼれ、仕事もしないでしげ(河合雪之丞)という愛人のところに入り浸り、挙句の果てには二人で東京を離れるという。

そして重一としげが旅立つ日、蛍を届けに来た近所の娘がときに向かって「おばさんによく似た人を見た」と告げる。

思うところのある様子のとき・・・

感想

幕開けから泣いているよし子さん、夫が酒は飲むわ暴れるわ、愛人のところに入りびたりで仕事もしないとなれば、泣くわな。

そのよし子さんの細い肩が、華奢な体つきが、心労で10kg痩せましたって感ありありで、こちらまで重一に意見したくなる。

女方とは言え男性の雪之丞さんとの対比で、か細いよし子さんによけいに感情移入できてしまう。

が、重一がときに、しげと旅立つこと、後の事を頼む2人のシーンで「あぁ、重一は今でもときさんに思いを残しているんだな」と思ってしまった。

えらそうに言葉を重ねても誰かにつっかい棒になってもらわないと生きていけない男だと、まぁそこがときさんにはたまらないんだろうなと思ってしまった。me too

ときさんは、何とか必死に平常心を保ち、舟木の妻であることを保とうとしているんだと感じた。

そして蛍を届けに来た娘に「おばさんの妹かと思った」と言われて、心がざわつかない訳はないよね、ときさん。

ときがどうするのかは、見物の受け止め方に任せられて幕が閉じるのだけれども、この物語をよりしっくり感じさせてくれたのは瀬戸摩純さんの細い肩だと、心からそう思います。

第二幕 『お江戸みやげ』

こんなお話

結城から呉服の商いにやってきたおばさん2名、おゆう(波野久里子)とお辻(渡辺えり)。

おゆうはおおらかで楽しいことにお金もつかえちゃう。

お辻は倹約家で趣味は貯金、無駄なお金はちょっとも使いたくないそんな人。

ふたりは商いを終えて、湯島天神の茶屋でお酒を飲み始め、気持ちも大きくなって芝居小屋に入って行く。

お辻は「私はお酒を飲むと心が乱れるの」と言っていた通り

そこに出演していたの坂東栄紫(喜多村緑郎)にひと目惚れしてしまう。

お酒に酔って別人のように豪勢になったお辻は、栄紫に会いたいと茶屋のお長に頼み込み席を設けてもらい、二人の時を過ごす。

そこに、常磐津文字辰(河合雪之丞)の娘お紺が逃げ込んでくる。

お紺は栄紫の恋人で、ふたりは一緒になりたいと思っている、が、

お紺の母、文字辰は娘をお金持ちの妾にして大金を得ようとしている。

そして、もし二人が一緒になりたいのなら二十両よこせというがふたりにそんなお金はない。

それを知ったお辻が、自分の持ち金を全部差し出して一緒にならせてやってくれと言い出す。

晴れて二人は一緒になることができる

栄紫は、感謝の気持ちとして自分の小袖を差し出す。

感想

いろいろなキーワードがチクチク来る芝居ではありました。

私は初日、と千穐楽に近い日と2回観ましたが、お辻の渡辺えりさんががんがんぶっこんでるなと思いました。

実際に観客の前でやってみて、こんなかしこまった「お江戸みやげ」じゃなくてはっちゃけようと思われたのかも?

初日はやはり固い感じがしました。

それがもう天才的により面白くて、泣けるシーンとの振れ幅が凄くてガンガン引っ張っていくえりさんはさすがだと思いました。

そしてそれをきちんと収めるところに収めていく久里子さんも凄いと思いました。

冒頭の久里子さんがお酒を飲むシーン、もうおいしそうでおいしそうで、私も晩酌が進みました。

茶屋女房のお長さんの菅原ゆりさんが、酸いも甘いも噛分けてさらに清濁併せ飲んでる感じで大好きです。

一幕目では、とんでも男の重一、二幕目はちょっと頼りないけど優しい心ある男の坂東栄紫を勤めた喜多村緑郎さん、どちらも素敵でした。

そしてお楽しみのカーテンコール

最後に全キャストが舞台に居並んでのカーテンコール。

写真撮影、動画撮影OKとのこと、ハッシュタグを付けてSNS投稿してOKと雪之丞さんからお知らせがあり、これは「刀剣乱舞」効果かしらと思ってしまいました。

こんな風に、発信していくのは本当に大事だと思います。

まとめ

2024年6月に三越劇場で開催された「初夏新派祭」は「蛍」と「お江戸みやげ」の二本立て公演でした。渡辺えりさんを客演に迎え、普段は録音の音楽も生音で上演され本当に新派を堪能できたお芝居でした。

次回作も期待しています。

 

 

 

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