【2024年5月】團菊祭五月大歌舞伎 團菊祭とは?初めてでも解りやすい演目紹介

2024年5月、東京の歌舞伎座では團菊祭五月大歌舞伎と銘打たれた公演が行われます。また、四世市川左團次一年祭追善狂言として「毛抜」が上演されます。どんな内容の公演になるのでしょうか?

いまさら聞けない読み方や、團菊祭という名前の所縁や、初めて歌舞伎を観る方にもおすすめな公演の情報や見どころなどについて解りやすくまとめてみました。

団菊祭の読み方とゆかりについて

團菊祭は、だんきく祭と読みます。

團菊祭は、明治時代に絶大な人気を誇った二人の名優九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の功績を称えるため、昭和11年から歌舞伎座で上演される五月大歌舞伎に付けられる名称です。

團菊祭の「團」は九代目市川團十郎、そして「菊」は五代目尾上菊五郎を指します。

そして團菊祭のときには、当代の團十郎や菊五郎をはじめ、市川家や尾上家の俳優が出演し、両家に所縁のあるお芝居が上演されます。

今では「そろそろ團菊祭の季節だね」と歌舞伎ファンの間では風物詩となっています。

九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎

九代目市川團十郎

九代目團十郎は時代物の芝居に定評があり、「活歴」と呼ばれる歴史的事実に基づいた演目を演じ、歌舞伎の改革に貢献しましたが、これまでの荒唐無稽な古典歌舞伎の方が当時の歌舞伎ファンに受け入れられたようです。

しかし、現代の歌舞伎はこの九代目市川團十郎の影響を受けているものも多く「劇聖」と言われる所以なのです。

当時は「九代目といえば勧進帳」と言われたそうで、特に有名なのは「勧進帳」の弁慶です。

五代目尾上菊五郎

五代目菊五郎は世話物に定評がありました。

 江戸時代の町人の世相や風俗を背景とした出来事を題材とする演目のことで、町人にとって身近で親しみを感じられる当時の現代劇を指します。

彼は明治や江戸の風俗を写実的に表現することにこだわりを持ち、そのリアルな演技術は菊五郎家のお家芸として当代にも受け継がれています。

そして、菊五郎と言えば代表作は「弁天小僧」や、「め組の喧嘩」の辰五郎や「魚屋宗五郎」の宗五郎などがあります。

粋でいなせなカッコイイ江戸の町人像が現代にも受け継がれています。

四世市川左團次一年祭追善狂言とはどういうこと?

2024年の團菊祭では、四世市川左團次一年祭追善狂言と銘打たれた「毛抜」という演目が上演されます。

2022年の歌舞伎座で初舞台を勤める市川新之助さんが粂寺弾正を演じて話題になりました。

四世市川左團次さん、屋号は高島屋ですが、市川というお名前の通り、市川宗家に繋がる家柄です。また、尾上菊五郎劇団でも活躍された色気と愛嬌を備えた個性派の俳優さんです。

現、市川男女蔵さん市川男寅さん親子の父であり祖父であられましたが、2023年4月に右下葉肺がんのため82歳で亡くなりました。

市川家はもちろん、尾上家の菊五郎劇団の芝居にも欠かせない存在感も見た目も大きな方で、「助六」髭の意休や「白波五人男」での日本駄右衛門が印象に残っています。

そんな、市川家にも尾上家にもゆかりのある四世市川左團次さんの追善が團菊祭で行われるのは当然のことです。

追善の演目は「毛抜」で、市川左團次さんが左團次襲名の時に勤められた、久米弾正を長男の市川男女蔵さんが、錦の前を孫にあたる男寅さんが勤められることになります。

これは、観ておきたいなと思います。

演目と見どころ

昼の部(午前11時開演)

鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)

おしどり

河津三郎/雄鴛鴦の精 尾上松也  
遊女喜瀬川/雌鴛鴦の精 尾上右近  
股野五郎 中村萬太郎  

相撲勝負で負けたことで、遊女喜連川を河津三郎に譲った股野五郎が、遺恨を晴らすために鴛鴦の夫婦の雄を殺しその生き血を飲ませて河津の心を乱そうとします。

前半の相撲勝負、引き裂かれた鴛鴦が狂おしく情念の舞を見せる後半と解りやすい舞踊の演目です。

歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)

四世市川左團次一年祭追善狂言

粂寺弾正 市川男女蔵
腰元巻絹 中村時蔵
小野春風 中村鴈治郎
小原万兵衛 尾上松緑
八剣数馬 尾上松也
秦秀太郎 中村梅枝
錦の前 市川男寅
若菜 中村萬次郎
秦民部 河原崎権十郎
八剣玄蕃 中村又五郎
小野春道 尾上菊五郎
   
後見 市川團十郎

婚礼を目前にした姫君錦の前は、髪の毛が逆毛立つ謎の奇病でふさぎ込んでいるところへ、嫁ぎ先の使者粂寺弾正がやってきて、奇病の根源を見破り問題解決という単純なストーリーですが、

その仕掛けや、粂寺弾正の今で言うセクハラな一面が楽しく笑える一幕です。

四世市川左團次追善の演目ですので、父の当たり役であった粂寺弾正をその子息である市川男女蔵さんが、錦の前を孫の市川男寅さんが勤めます。

極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)

「公平法問諍」

幡随院長兵衛 市川團十郎
水野十郎左衛門 尾上菊之助
女房お時 中村児太郎
出尻清兵衛 市川男女蔵
唐犬権兵衛 市川右團次
近藤登之助 中村錦之助

日本の侠客の元祖と言われる幡随長兵衛は、酔った旗本が芝居小屋で起こしたトラブルを諫めたことで旗本の屋敷に呼ばれることになります。

当時は旗本が町人の一人くらい殺しても問題にならない時代ですから、屋敷に呼ばれる問う事は死を意味しています。

妻子や子分たちとの別れのシーン、屋敷での慇懃無礼な酒席、立廻りのシーンなど、幡随長兵衛は男の中の男でいちいちカッコいい!!

長兵衛はじめその子分たち全員、イケメンでカッコいいので目の保養に是非!!

夜の部(午後4時30分開演)

伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)

<御殿>  
乳人政岡 尾上菊之助
栄御前 中村雀右衛門
沖の井 中村米吉
八汐 中村歌六
〈床下〉  
仁木弾正 市川團十郎
荒獅子男之助 市川右團次

幼い主君(中村種太郎)を守り実の息子千松(尾上丑之助)と共に養育しているのが乳母の政岡(尾上菊之助)。

主君は命を狙われているため日々の食事にも警戒が必要で、実子千松が毒見役となっています。

また、千松はどんなことがあっても主君の事は身を挺して守るように言いつけられています。

食事がなかなか用意されないため二人ともお腹を空かせているところで、政岡が食事を用意してやるシーン「飯炊き」が愛に溢れていて美しいので必見です。

主君暗殺を企てる悪者が毒入りのお菓子も持ってやって来た時に何かを察した千松が毒入りのお菓子を食べ、さらに懐刀で刺殺される千松。

その死を嘆きながらも、身を挺して主君を守った我が子を「あっぱれじゃ」とほめる母政岡のシーンは泣けます。

四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)

四谷見附より牢内言渡しまで

野州無宿富蔵 尾上松緑
数見役 坂東彦三郎
坂東亀蔵
女房おさよ 中村梅枝
浅草無宿才次郎 中村萬太郎
伊丹屋徳太郎 坂東巳之助
浜田左内 河原崎権十郎
うどん屋六兵衛 坂東彌十郎
隅の隠居 市川團蔵
牢名主松島奥五郎 中村歌六
藤岡藤十郎 中村梅玉

江戸城の御金蔵から4千両を盗み出した、富蔵と藤十郎。富蔵はほとぼりが冷める頃を狙って、故郷気帰った際に捕らえられ、江戸への護送途中の熊谷の土手で、妻子や舅との別れを惜しみます。

護送用の籠に入れられ、縛られた顔だけが出せる状態での別れのシーンが胸に来ます。

そして、江戸の牢屋でのシーン。

囚人にヒアリングをして描かれたという牢獄のやり取りが興味を引きます。

【2024年5月】團菊祭五月大歌舞伎概要

公演期間 2024年5月2日(木)~26日(日)
昼の部(開演~終演予定時間) 11:00~未定
夜の部(開演~終演予定時間) 16:30~未定
休演日 8日(水)、16日(木)
劇場 歌舞伎座
料金(税込)
1等席 18000円
2等席 14000円
3階A席 6000円
3階B席 4000円
桟敷席 20000円

團菊祭五月大歌舞伎まとめ

2024年5月の歌舞伎座では團菊祭五月大歌舞伎と銘打たれた公演が行われます。また、四世市川左團次一年祭追善狂言として「毛抜」が上演されます。いまさら聞けない読み方や、團菊祭という名前の所縁や、初めて歌舞伎を観る方にもおすすめな公演の情報や見どころなどについて解りやすくまとめてみました。

昼夜ともに拝見してきましたが、飽きることなく楽しめるのと、全幕が解かりやすいストーリーなので普通に楽しめるんじゃないかと思います。

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