【2024年2月】猿若祭二月大歌舞伎 猿若祭とは?読み方は?初めてでも解りやすい演目紹介

2024年2月、東京の歌舞伎座では猿若祭二月大歌舞伎十八世中村勘三郎十三回忌追善と銘打たれた公演が行われます。どんな内容の公演になるのでしょうか?いまさら聞けない読み方や、猿若祭という名前のゆかりや、初めて歌舞伎を観る方にもおすすめな公演の情報や見どころなどについて解りやすくまとめてみました。

猿若祭の読み方とゆかりについて

「猿若祭」は、さるわかさいと読みます。

猿若勘三郎が歌舞伎を上演することを江戸で許可され、猿若座が始まりました。

猿若勘三郎は初代中村勘三郎で、猿若座は後の中村座ということになります。

「猿若」とは江戸時代に歌舞伎が生まれた頃から続く名称で、猿若座から中村座へと変遷し、それを平成の時代によみがえらせたので今でも中村屋の興行が行われる特設会場を「平成中村座」というのです。

十八世中村勘三郎十三回忌追善とはどういうこと?

現在活躍されている中村勘九郎さんや中村七之助さんの父親は、十八世中村勘三郎さんです。

中村勘三郎さんは2012年5月に亡くなられましたので、今年は13回忌に当たるため2024年の2月は歌舞伎座で、3月は名古屋の平成中村座で追善興行が行われます。

追善興行が行われるのは、歌舞伎役者にとっては名誉なことです。

中村勘三郎さんの父親である十七世中村勘三郎さんは「追善興行が出来る役者になってくれと」勘三郎(十八世)に言われていたそうで、その追善興行ができるのは、ご本人にとっても名誉であり、それができる子供たちにとっても名誉なことかと思います。

追善というのは故人をしのび、冥福を祈ってゆかりの日に興行を開催することです。

歌舞伎座で行われる昼夜の興行が全て追善興行というのは故人がどれだけ貢献したのかが偲ばれますね。

演目と見どころ

昼の部(午前11時開演)

新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)野崎村

田舎娘お光と婚約者の久松悲しい恋の物語。

久松は大きな商家で丁稚奉公中の身でありながら、その店のお嬢様のお染と恋におち、妊娠させてしまいます。

しかし久松はお光とも婚約中の身。

もちろん丁稚と奉公先のお嬢様との恋など許されるわけもないのです。

お光は久松との結婚の為、いそいそわくわく準備を整えています。

そこへ、お染がやってきて、お染と久松は一緒になれないなら心中しようと覚悟を決めていました。

それを察したお光は、自分が身を引くという悲しい決断をします。

久作娘お光を、中村勘三郎さんに「3人目の倅」とまで言われた、部屋子の中村鶴松さんが、丁稚久松を中村七之助さん、久松と恋仲の油屋娘お染を中村児太郎さん、お染の父である百姓久作は坂東彌十郎さん、そしてお染の母親役の油屋後家お常を中村東蔵さんが勤められます。

この配役が決まった時から、中村鶴松さんは並々ならぬ決意で稽古に取り組まれているとのことですから楽しみですし、中村七之助さんの立役も楽しみです。

釣女(つりおんな)

縁結びの神と名高い神社へ大名が太郎冠者をお供にお参りします。

お告げに従って大名が竿を下すと世にも美しい身分の高い女官をを釣り上げます。

それを観た太郎冠者は自分もきれいな奥さんをめとりたいと釣竿を下しますが、釣れたのは醜女(しこめ)・・・あまりきれいな女性じゃなかったという事ですね。

太郎冠者は中村 獅童さん、大名某を中村萬太郎さん、きれいな女官上臈を坂東新悟さん、そして醜女を中村芝翫さんが演じられます。

この演目では醜女を女方ではなく立役の俳優さんが演じるのが通例となっています。

大柄で、お化粧もブサ目に施して、美女と醜女の対比をデフォルメして、可笑しさや迫力を強調します。

ハンサムな中村芝翫さんの醜女が楽しみですね。

籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)

痘痕顔で田舎者の絹商人の次郎左衛門は下男と共に、吉原仲之町へお江戸土産の見物のつもりでやってきます。

見物のつもりが、豪華絢爛な花魁道中に出くわし、八ツ橋花魁の美しさに魂を奪われてしまいます。

次郎左衛門は、江戸に来ては八ツ橋のもとへと通い気前よくお金を使い、身請け話も出始めるのです。

しかしことはうまく運びません。

八ツ橋には繁山栄之丞という愛人がいるのです。

ある日突然人前で愛想尽かしをされ打ちひしがれて国へ帰ります。

たくさんの人がいる中で「あんたなんか大っ嫌い」と言われたらメンタルやられますよ。

その後次郎左衛門は、復讐の為に吉原を訪れて大惨劇を巻き起こします。

佐野次郎左衛門は中村 勘九郎さんが、兵庫屋八ツ橋を中村七之助さんが、繁山栄之丞を片岡 仁左衛門さんが勤められるという事で注目の一幕です。

十八世中村勘三郎さんが、勘三郎を襲名するときにも上演された演目で、その際に繁山栄之丞役をされたのが片岡 仁左衛門さんです。

夜の部(午後4時30分開演)

猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)

京の都で評判を呼ぶ歌舞伎踊りを見せる猿若と出雲の阿国の一座が、幕府への献上品を運べずに困っている材木商の福富屋夫婦を助けます。

奉行の板倉はその功績を褒め、猿若たちが江戸で芝居小屋に適した場所を探していることを知り、場所を与え芝居の上演を許可してくれるというなんともおめでたいストーリー。

猿若は今年12歳の中村 勘太郎さん、出雲の阿国は中村七之助さん、奉行板倉勝重は中村獅童さん、福富屋夫妻は中村 芝翫さんと中村 福助さんという豪華配役です。

義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)すし屋

弥左衛門は吉野の下市村ですし屋を営んでおり、平維盛を奉公人の弥助としてかくまってます。

勘当された、素行の悪い息子の権太はその事実を知ると、お金欲しさに父を裏切り、維盛の首とその妻子を敵対する鎌倉方に突き出します。

弥左衛門は息子の愚かしい行動に怒りに震え権太を刺してしまいますが、死に際の権太の告白によって、真実が明かされます。

いがみの権太は中村芝翫さん、弥助実は三位中将維盛を中村時蔵さん、鮓屋弥左衛門を中村歌六さんが勤められます。

連獅子(れんじし)

獅子の子は親から谷底に蹴り落とされてもはい上がるという伝説に基づいた舞踊の演目。

白い毛の親獅子と赤い毛の子獅子が勇壮に毛を振る様は、歌舞伎ファンでなくても記憶にあるのではないでしょうか?

親子で歴史を繋ぐ歌舞伎界では、最近は実の親子で上演されることが多く、

今回の追善興行では、狂言師右近後に親獅子の精を中村勘九郎さんが、狂言師左近後に仔獅子の精を中村長三郎さんが勤められます。

十八世勘三郎さんの時代には、勘九郎さん七之助さんと、そして勘九郎さんの代で勘太郎さん、長三郎さんと連獅子を勤められることで、何よりの追善になるかと思います。

法華の僧蓮念の中村橋之助さん、浄土の僧遍念 中村歌昇さんにもご注目を

【okichi point】
とても解りやすいストーリーの演目がそろいました。出演者も追善にふさわしく豪華で、人間国宝である片岡仁左衛門さん、中村東蔵さん、中村歌六さんが登場されるという豪華配役ですし、歌舞伎界でもイケメンと名高い役者さんが揃います。初めて歌舞伎を観られる方にも十分楽しんでいただけると思います!

【2024年2月】猿若祭二月大歌舞伎概要

公演期間
2024年2月2日(金)~26日(月)
第1部(開演~終演予定時間)
11:00~15:40頃
第2部(開演~終演予定時間)
16:30~20:25頃
休演日
13日(火)、20日(火)
貸切日
9日(金)昼の部 ※幕見席は営業
劇場
歌舞伎座(東京都・東銀座)
料金(税込)
1階桟敷席:20000円 1等席:18000円 2等席:14000円 
3階A席:6000円 3階B席4000円 

まとめ

2024年2月に歌舞伎座で行われる猿若祭二月大歌舞伎十八世中村勘三郎十三回忌追善興行についてまとめました。いまさら聞けない読み方や、猿若祭という名前のゆかりや、公演情報や見どころなどについてまとめてみました。観劇のお役に立てましたら嬉しいです。最後までありがとうございます。

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